第 57 卦 · 巽為風
巽 · Xùn
彖辞
巽は小しく亨る。往く攸有るに利ろし、大人を見るに利ろし。——風のように入り込む時です。大きくは通りませんが小さくは通ります。進んでよく、経験ある人に会って方向を定めることに大きな利があります。
象辞
象に曰く、随う風は巽なり。君子以て命を申べて事を行う。——風が風を追って吹き続ける姿です。君子はこれにならい、同じ指示を繰り返し丁寧に伝えてから事を行います。一度では足りないことを知っているのです。
解説
ここで望むものを手に入れる道は、決定的な一撃ではなく、穏やかな粘りです。風があらゆる隙間に入り込むのは、強く押すからではなく吹き続けるからで、この卦はあなたに同じやり方を求めます。小さな一貫した働きかけを、抵抗の最も少ないところへ、辛抱強く繰り返すのです。うまくいく条件は二つあります。第一に、目的が要ります。方向のない風はただの天気であり、目的のない柔らかさは優柔不断に変わります。何を達成したいのかをはっきり決め、そのうえで道筋は柔軟にしてください。第二に、しかるべき導きを得ること。卦辞が大人に会えと勧めるのは、誰かの経験が、間違った方向への何か月分の穏やかな努力を省いてくれるからです。柔らかさはここでは戦略であって性格ではありません。
恋愛
対決ではなく、優しさと一貫性で心を動かしてください。日々の小さな親切のほうが、重い話し合いより多くを変えます。ただし合わせすぎて自分が消えないように。穏やかであることは、望みや必要がないという意味ではありません。
仕事
説得と忍耐と反復によって進みます。会議の前に案を根回しし、何度も戻り、文化に染み込ませてください。方向は助言者に求めましょう。ぐらつきと際限のない相談は避け、どう柔軟になるかの前に、何を得たいかを決めておくことです。
アドバイス
方向をしっかり決めてから、穏やかで辛抱強い働きかけを重ねてそこへ至ってください。
爻辞
初六、進退す。武人の貞に利ろし。——進むべきか退くべきか決めかねて揺れています。柔らかさに武人の決断力を少し加えてください。ためらいそのものが問題になり始めています。
九二、巽床下に在り。史巫を用うること紛若たり、吉にして咎無し。——表に見えないところで、隠れた影響が働いています。漠然とした不安を抱えたまま暮らすより、徹底して表に出してください。そうすれば咎はありません。
九三、頻りに巽う、吝なり。——同じ事柄を何度も考え直し、決めないままでいると、自分の意志も周囲の忍耐も擦り切れます。どこかで分析を終え、選ぶことに移らなければなりません。
六四、悔い亡ぶ。田して三品を獲たり。——控えめでも狙いの定まった働きが、思いのほか完全な成果をもたらします。ようやく的が定まったので、いくつもの方面で同時に得るものがあります。
九五、貞しくして吉なり、悔い亡ぶ、利ろしからざる無し。初め無くして終わり有り。庚に先立つこと三日、庚に後るること三日、吉なり。——出だしが悪くても、前後の入念な準備で立て直せます。
上九、巽床下に在り。其の資斧を喪う、貞なるも凶なり。——際限なく探り、へりくだりすぎることで、資源も行動する力も削られていきます。詮索をやめて、立ち上がってください。