第 44 卦 · 天風姤
姤 · Gòu
彖辞
姤は女壮んなり。女を取るに用うる勿かれ。——思いがけない出会いの時です。小さく見えるものが強い力を秘めています。魅力的に見えても、すぐに縛られる約束を結んではいけません。出会いは受け止め、契りは急がないことです。
象辞
象に曰く、天の下に風有るは姤なり。后以て命を施し四方に誥ぐ。——天の下を風が吹き渡り、あらゆる隙間に入り込む姿です。上に立つ者はこれにならい、自分の意思を明らかに告げ、良い影響のほうを先に隅々まで行き渡らせます。
解説
小さく、感じがよく、扱えそうに見える何かが、あるいは誰かがあなたの生活に入ってきました。この卦の警告はただ一つ、そういうものは小さいままではいない、ということです。都合のよい近道、褒め上手な新しい知り合い、一度だけと再開した習慣、書面のない気楽な取り決め。どれも初めは危険に見えません。助言は疑心暗鬼になることではなく、早い封じ込めです。まだ一本の線であるうちに相手の正体を見きわめ、あなたの暮らしに根を張る前に歯止めをかけてください。この期間は、とくに会ったばかりで裏の取れない相手と、拘束力のある約束を結ばないことです。同時に、ここでの偶然の出会いは本当に実り豊かでもあります。開いたまま、しかし縛られずにいてください。
恋愛
強く、速く、そしておそらく形にするには早すぎる惹かれ合いが現れます。約束をせずに出会いそのものを楽しみ、魅力に人柄が伴っているかを見てください。早い決断を迫るものは、熱意ではなく慎重さで応じるべき相手です。
仕事
心惹かれる話や、思いのほか説得力のある新顔が現れます。まだ署名せず、権限を渡さず、その人を軸に組み替えないでください。経歴を確かめ、細かい条項を読み、時間が関係を証明するまで影響力は囲っておきます。
アドバイス
訪れるものは目を開いて迎え、正体が分かるまで何にも自分を縛りつけないでください。
爻辞
初六、金柅に係がる、貞しくして吉なり。往く攸有れば凶を見る。羸豕孚に蹢躅たり。——小さな問題は、止めるのがまだ簡単なうちに、すぐ固く止めてください。痩せた豚でさえ暴れ回るように、弱く見えるものが後に手に負えなくなります。
九二、包に魚有り、咎無し。賓に利ろしからず。——心惹かれる影響は、自分の静かな管理下に置き、外へ回さないことです。人前に持ち出さず、私的に囲っておくかぎり咎はありません。
九三、臀に膚無く、其の行くこと次且たり。厲うけれども大なる咎無し。——落ち着かず、半端に関わっている状態です。それでも危うさを自覚しているおかげで、衝動のまま動かずに済み、大きな過ちにはなりません。
九四、包に魚無し、凶を起こす。——驕りや怠りから、本来世話をすべき人たちとの縁が切れています。今つくった距離は、いちばん助けが要るときに支えを失う形で返ってきます。
九五、杞を以て瓜を包む。章を含めば、天よりの隕つること有り。——価値はあるがまだ未熟なものは、人目から隠して守ってください。表に出さず静かに手を尽くしていれば、結果はしかるべき時に天から落ちるように届きます。
上九、其の角に姤う、吝なれども咎無し。——望まない出会いから高慢に身を引けば、人の気を悪くし、孤立もします。それでも本当の危険は避けられたのですから、大きな咎にはなりません。