第 54 卦 · 雷沢帰妹
帰 · Guī Mèi
彖辞
帰妹は征けば凶なり、利ろしき攸無し。——立場の弱いまま情に押されて進む時です。押し切って進めば凶となり、得るものはありません。何に入っていくのかを初めに見きわめることだけが、この卦の助けになります。
象辞
象に曰く、沢の上に雷有るは帰妹なり。君子以て終わりを永くし敝るるを知る。——沢の上で雷が鳴り、動きが先走る姿です。君子はこれを見て、始まりの時点で終わりを見通し、どこで壊れるかをあらかじめ知ろうとします。
解説
あなたは今、相手より力の弱い立場にいるか、これからそこへ入ろうとしていて、しかも気持ちが取り決めを追い越しています。ここで押し進めれば厄介なことになります。関係や状況に値打ちがないという意味ではなく、構造上の不均衡は努力や承認の要求では直せないという意味です。役に立つのは、自分が何に入ろうとしているのかをはっきりさせることです。象は、始めの時点で終わりを考えよと求めます。入るなら、目を開き、期待は控えめに、自尊心は人に見せずに保ったまま入ってください。ふるまいは非の打ちどころなく、与えられていない地位を求めて立ち回らず、主張ではなく行いで質を示します。取り決めが本当に一方的で不誠実なら、上爻は実の入っていない籠の空しさを容赦なく描きます。
恋愛
望むほどの立場を持てない、不均衡で不規則な状況です。相手が差し出していない位置を求めて迫らないでください。ここで本当に手に入るものは何かを自分に正直に見せ、どう決めるにせよ品位を保ってください。
仕事
下位あるいは依存する役割にあり、自己主張でそれを変えることはできません。仕事は見事に、態度は如才なく、駆け引きは避け、外の選択肢を静かに育ててください。堂々と口に出せない条件の話は受けないことです。
アドバイス
踏み出す前に行き着く先を見て、動かせない立場では品位を手放さないでください。
爻辞
初九、妹を帰がしむるに娣を以てす。跛にして能く履む、征きて吉なり。——控えめな位置でも、恨まずに引き受けてよく務めれば、本当に役に立ち、幸福でもあり得ます。歩みは不自由でも前へ進めます。
九二、眇にして能く視る。幽人の貞に利ろし。——期待したほどには誠意が返ってきません。自分の流儀で信を保ち、足りないものははっきり見て、内側では独立していてください。
六三、妹を帰がしむるに須を以てす。反りて帰がしむるに娣を以てす。——得ていない位置へ性急に手を伸ばせば、出発点より低いところへ落ちます。掴みにいくのではなく、待つことです。
九四、妹を帰がしむるに期を愆る。遅く帰ぐに時有り。——最初の申し出で妥協する必要はありません。意識して遅らせ、自分の基準を保っていれば、ふさわしい縁は後から訪れます。
六五、帝乙妹を帰がしむ。其の君の袂は、其の娣の袂の良きに如かず。月望に幾し、吉なり。——飾りを脇に置き、素のまま人に向き合う気高さこそが本当に敬われます。満月に近い、穏やかな吉です。
上六、女筐を承くるも実無し。士羊を刲くも血無し。利ろしき攸無し。——形だけは整い中身のない取り決めです。籠に実はなく、犠牲に血も流れません。誰の利益にもなりませんから、続ける意味はありません。